前からナタリアに話聞いてて、すっげー会いたいって思ってたんだ!

だってあのジェイドとかリオンとかと一緒にクヴァルを倒した奴だぜ?
俺と同じ年位なのに、世界中を旅してて色んな街の知り合いがいて




”ってどんな奴なんだろってずっと会えるの楽しみにしてたんだ。







そして今日、出会った本物は俺の想像よりは少し違ってた。
背は低すぎず高すぎず、顔は中性顔。
声も渋い感じじゃなくて、少しハスキー。

俺はもっとごっつい奴を想像してたから正直驚いた。



でも、想像してたよりずっと親しみやすい気がする。


ナタリアも初対面でも凄く気が許せたって言ってた(お陰でアッシュは余計にがどんな奴が気になったらしい。嫉妬か?)



俺も、と友達になりたい!














そんながジェイドに嵌められて、エヴァに暫く滞在することになった(ジェイドナイス!!)
一緒にクエストに行けば、もっと仲良くなれるかもしれねえ。















……って思ったのに。














「取り合えずは一つずつこなしていけばなんとかなるかな」
「そうだな。後同時に出来るものもあるかもしれないからよく見ておけ」





俺の目の前には、クエストを見比べながら相談していると………アッシュ。




なんで初対面時はあんなに素っ気無かったアッシュがああなってんの!?
あいつナタリアがのこと褒めるから少し気に食わなく思ってたくせに!!





俺はがクエストの受注に行った隙にアッシュの所に行った。








「おい、アッシュ!」
「ああ?」


「お前なんでちゃっかり仲良くなってんだよ!最初は愛想無かったくせに!」
「フン。話してみればそんなに腹の立つ奴でもなかったんでな。わざわざ毛嫌いする必要は無い」
「俺だってと話してえのに、お前さり気無く邪魔してるだろ!」
「知るか。お前がさっさと声かければ良いだけじゃねえか」







「何やってんだ?二人共」






俺達が話しこんでいるとが戻ってきた。
今の話聞かれたか!?



「仲良いな。大佐に聞いたんだけど二人の喧嘩って毎日一回は必ずあるこの街の名物なんだって?」



…聞かれては無いらしい。

けど、名物ってなんだよ!!!


アッシュも俺と同じ事を思ったらしい、眉間の皺が深い。




「じゃあオレ、クエスト行ってくるな」

「結局どれにしたんだ?」






「バジリスク10匹討伐。難易度も低いし、腕鳴らしに丁度良いっしょ?」
「な…なあ、それもう一緒に行く奴決まってるか?!決まってなかったら俺手伝うよ」



…言った!



「え、本当?サンキュー」




よっしゃあ!






「おい、こんな奴連れて行っても時間がかかるだけだぞ。俺が行く」




…アッシュ…!なんで邪魔すんだよ!




「え、アッシュも来てくれるのか!?助かるよー」






ちょちょちょ、!アッシュはそういう意味で言ったんじゃないと思うけど!!
大体俺ととアッシュで、ってなんかバランス悪いぞ!前衛ばっかだし!



って…かと言って俺が削られるなんて嫌だし…。
アッシュも同じ事考えてる顔してるな。




「じゃあ、後一人は回復役か?」
「ううん、コレ依頼者と一緒に行くから三人で良いんだ」





依頼者を含めるクエストって……依頼者がアドリビトムの時だけじゃん!!!

ってことはそのクエストってエヴァの誰かが出したクエストかよ!





「…な、なあちなみにそれ誰?」





俺の問いには笑顔で答えた。





































「ああ、来たか。……お前もうちょっとバランスというものを考えられなかったのか?」


鋭い目つきで俺達を睨んでくる黒髪の剣士。
この街では知らない者はいない、ホーリークレスト軍所属のアドリビトム。




「いーじゃん、バジリスクはレベル低いし。オレ達なら楽勝だよ、リオン」





そう
リオン・マグナス。





俺コイツ苦手なんだよな…。なんかアッシュみてえに人のことすぐ馬鹿にするし、こっちが歩み寄っても突き放されるし。
よくはあんな言われ方しても腹立たねえよなあ…。
アッシュなんて眉間が二割増しだぜ?




「フン。回復役がいないからと言って足を引っ張るような真似だけはしてくれるなよ」

「なんだと…。言うじゃねえか、この屑が!」

「ちょっやめろよアッシュ!喧嘩売ってどーすんだよ」


俺がアッシュを押さえているとが俺達とリオンの間に立ち塞がった。






「リオンっ!どうしてそう言い方すんだよ!正直に“怪我しないように気をつけろよ”って言えば良いじゃん!」
「バッ…なんでそういう解釈になるんだ、お前は!」
「だってそうにしか聞こえねえもん。大佐から“リオンは天邪鬼ですから本音が中々言えないんですよ〜”って聞いてるし」
「…あのお気楽大佐め…!」


リオンは言葉を詰まらせ、の剣幕に圧倒された。
そして今度はアッシュの方には振り返る。



「アッシュも!屑なんて軽々しく言うなよ!相手を悪く言えばその分自分だって傷付くんだからな!」
「べ、別に俺は傷付きゃしね…」
「見えない部分が傷付くんだよ!それにオレの仲間には屑なんて一人もいないんだから、アッシュもルークも含めてね!」



アッシュも黙り込んだ。
俺は黙り込んだわけじゃなく正直嬉しさで一杯になって何も言えなかった。




は俺達を“仲間”と思ってくれている。
まだ出会って間もない俺達でも、リオンと同等に思ってくれていることが何よりも嬉しかった。




「さあ、皆行こうぜ!」



先等を歩くに俺達は急いで追いかけた。

























珠海の塔――第二層。
此処に目的のモンスター、バジリスクがいる。



「実力は落ちていないだろうな?」

「ムッ、失礼な。むしろ上がってるところ見せてやるよ」

「ほう?それじゃあお手並み拝見といかせてもらうぞ。ほら、ターゲットが来たぞ」




わらわらと現れるバジリスク。数は目的の十体には満たないけど5〜6体はいるか。
リオンは剣を抜かずの行動を見ている。


「っておい!一人でやらせるのかよ!」
「随分薄情なこったな」


俺達の言葉にリオンは反応しない。
俺は慌てて剣を抜き、の後へと続く。







、大丈夫か?!」

「ルーク?うん、大丈夫だ!まずは肩慣らし…行くぜ、
雷神双破斬!!



その一振りに一気に三体のバジリスクが薙ぎ倒された。
つ……強え……。



その後もはあっさりとバジリスクを倒していく。
こ、これって俺達来る意味あったのかな……。




「ラスト…っ!」


最後の1匹にトドメを刺したと思った瞬間、の方ばかり気にしていて油断していた俺の方にまだ息のあったバジリスクが歯を向けてきた。




「しまっ…」

「ルークっ!!」



腕を顔の前に出し、来るであろう痛みに思わず目を瞑った。






「ルーク、ごめんよっ!」




の声が聞こえたと思ったら、俺の体がガクンと後ろに倒れた。
足元を払われたからだ。




「リオンっ!!」

「分かっている、喰らえ
エアプレッシャー!!!





俺に襲い掛かろうとしたバジリスクは、リオンの唱えた魔術を喰らい再び地に伏した。
まるで打ち合わせしたかのようなタイミング、それをとリオンは急遽やってのけたのだ。




「詰めが甘いぞ」

「見せ場残しておいてあげたんじゃない」




言い合う言葉は皮肉に聞こえるかもしれないが、二人の表情は柔らかい。
互いがどういう行動に出るか解り切っていたからこそあんな動きが出来たんだろう。





「ルーク、ごめんな。いきなり転ばしちゃって」
「あ、いいや全然!俺がボーっとしてたから…むしろ助けてくれてサンキュ二人共」


今だ座り込んでいた俺をは手を引き、立たせてくれた。
リオンはいつもと変わらず仏頂面だったけど、は笑顔で「どういたしまして」と言った。







「後半分くらい?」

「残りは俺が片付けてやる。折角来たのに無駄骨にしたくないからな」



アッシュが先陣を切って歩き出す。
俺はアッシュに負けたくないと思う気持ちと、さっき助けてもらった分頑張りたいと思う気持ちでアッシュの隣に並ぶ。



「おい。付いて来るんじゃねえ」
「俺だって戦える!アッシュなんかには負けねえ!」


「おい二人共、勝手な行動をとるんじゃない。幾らレベルの低いダンジョンとは言え、団体行動を乱すな!」



リオンの言葉は聞こえていたけど俺とアッシュの足は止まらなかった。
多分、互いに意固地になっていたんだと思う。

だから“軍人”のリオンが言っている言葉の重要性が理解しきれていなかったんだろう。








「っ!!!ルーク、アッシュ!!!」



焦りを含んだ、の声。


俺達を影が覆った。



「え?」
「あ?」




見上げれば其処には巨大なドラゴン。
第二層にこんなのがいるなんて有り得ない。

それに、どうしてこんな大きいのが近づいて来たのに気がつかなかった――――――――?







「馬鹿野郎!ボーっとしてる場合か!」


アッシュの言葉に意識が戻され、俺は弾かれるようにその場から逃げた。
今まで立っていた場所にドラゴンの尾が振り下ろされる。





「っぶねえ!」
「だから言っただろう!貴様等のお陰で陣形が滅茶苦茶だ」
「ちっ…!今はそんなこと蒸し返してる場合じゃねえだろうが!」

「三人共、来るぞ!」